【若新雄純さん推薦!】5月9日「ZIP!」に著者出演で話題の一冊『リユース革命』より「はじめに」「第4章」を無料公開します。<国民一人あたり28万1,277円もの"かくれ資産"を持っている><なぜ中国人は日本で「中古品」を爆買いするのか?>さまざまなモノが値上がりする中でいま最も注目される日本の「リユース市場」とはーー。
※本記事記載のデータはすべて書籍刊行時(2020年)のものです。
いきなりだが、みなさん、まずはこの問いの答えを考えてみてほしい。
問1 日本で1年間に生まれる不要品をリユース市場に出したときの価値はいくらになるだろうか?
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答 約7.6兆円
約7.6兆円の市場規模を1万円札を積み上げて表現すると、76㎞もの距離になる。また、日本政府が決定した2019年度の一般会計補正予算案を見ると、財政支出の中の、国費と呼ばれる額がまさに7.6兆円だ。いかに大きな数字かということがわかっていただけると思う。(出典:経済産業省(2018)「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」)
問2 国内リユース市場の1年間の流通金額はいくらになるだろうか?
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答 約2兆円 ※2017年時点
2017年の市場規模は前年比12・3%増の1兆9932億円。2ケタの市場成長を実現した。「リサイクル通信」では将来予測をアップデートし、2020年には、約2兆6000億円、2022年には約3兆円規模に拡大するとしている(新型コロナウイルス禍前の予測)。(出典:リサイクル通信「データでみるリユース市場最新版2019」)
問3 日本で1年以内にモノを売ったことがある人は何%いるだろうか?
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答 約40%
環境省が調査した「リユース品の購入経験・売却経験」をもとに計算すると、1年以内にモノを売ったことがある人は、2009年で38・7%、2012年で42・3%、2015年で39・5%、2018年で33・6%である。実はモノを売っている人の割合はここ10年ほぼ変わりなく、むしろ直近のデータでは下がっている。(出典:環境省「平成30年度リユース市場規模調査報告書」2019年7月)
問4 日本の各家庭に眠っているリユース品の総額はいくらだろうか?
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答 約37兆円
この数字は、国民1人当たりに換算すると28万1277円となり、平均月収と同等の水準だ。かくれ資産を構成している3大要素は服飾雑貨に書籍とCD。1世帯当たりで見ると、平均69万4099円ものかくれ資産が眠っていることになる。ボーナスの年間支給額に迫る金額だ。最もかくれ資産が多いのは60代以上の女性で、その額、1人当たり49万7856円ということだ。この数字は10代の約3・5倍になる。
[出典:みんなのかくれ資産調査委員会調べ(監修:ニッセイ基礎研究所、データ提供:メルカリ)2018年11月]
以上、日本におけるリユース品の状況は、次のようにまとめることができる。
- 年間約7・6兆円のリユース品が生み出されている。
- しかし、年間に流通しているリユース品は2兆円ほどに留まっている。
- 実際にモノを売っている人は年間40%程度に過ぎない。
- その結果、貯まってしまっているリユース品の累計総額は約37兆円にも上る。
この数字が意味するところは何か。私たちがモノを売らずにいるだけで、これだけのリユース資産がどんどん貯まっていってしまっているということだ。そしてこの数字は毎年積み重なっていく……。
日本は世界でも有数の「リユース大国」
日本国内のリユース市場は、2017年に2兆円近くの規模になっている。2020年には、約2兆6000億円、2022年には約3兆円規模に拡大すると予測されている(「リサイクル通信」が2009年を最初の調査対象年として8年連続調査してきた最新推計額。2018年対象の調査結果が出れば、市場規模推計も変動する。また、新型コロナウイルス禍がリユース市場に与える影響については、執筆の時点では不明である)。
日本は今、リユースバブルの真っ只中にいるといってもいい。前述の推計では、2009年から8年連続、市場規模は拡大し続けている。やがてこのリユース市場の拡大は、モノの流通や消費活動のありようを変えてしまう「リユース革命」へと発展していくだろう。今、私たちはその過程の中にいるのだ。この「リユース革命」は、サーキュラー・エコノミーやSDGsといった、循環型経済を指向する世界的な潮流の一環だと捉えることができる。
これから詳しく見ていくが、実は日本は、世界からリユース大国として認識されている。その日本で起きているリユース市場の拡大は、一体何をもたらすのか。具体的には、どのような変化が起ころうとしているのか。「リユース革命」は社会をどのように変えていくのか。本書では、まず日本や海外のリユース市場を概観し、そこから見えてくる未来社会のあり方を考えてみたい。この革命は、すでにあなたの足元で始まっているのだ。
みなさん、「メルカリ」を利用されたことがあるだろうか。株式会社メルカリが2013年に始めた、個人間でモノを売買するためのプラットフォームだ。家にある今は使わなくなったモノがスマホのアプリ上でどんどん売買される様子を、ニュースなどで見たことがある人も多くいるかもしれない。
メルカリのスマホアプリは、世界中で1億ダウンロード(2017年12月16日時点)もされ、毎月、日本国内に限っても1350万人を超えるユーザーが取り引きを行い、サービス開始からの累計取り引き件数は5億件を超えている(2019年9月18日時点)。累計の出品数(2018年)は10億品を超える数となっている(「フリマアプリ『メルカリ』累計出品数が10億品を突破」)。
メルカリに代表されるフリマアプリによる個人間取り引きサービス、C2C(Consumer to Consumer)のECビジネスは、2018年の時点で6392億円(前年4835億円、前年比32・2%増)もの市場規模に急拡大しており、フリマアプリが初めて登場した2012年からわずか6年で巨大市場が形成されたことになる。
『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)を出版し、アメリカ・ネットフリックス(NetFlix)で配信された「KonMari~人生がときめく片づけの魔法~」が大ヒットした近藤麻理恵さんの存在も大いに話題になっている。家に眠るいらないモノを「スパーク・ジョイ」というキーワードで峻別し片づけていくその様子が全米の心を摑んだのだ。彼女は2015年にタイム誌によって「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれている。これらの現象は根底で繋がっている。
一つは、人々が家の中にある、使われていないモノに目を向けるようになったこと。そして、そういったモノにも価値があることを知ったことだ。「メルカリ」はその個人間売買の場をつくり、KonMariは結果的にモノを掘り起こすことに貢献している。
海外から「日本の中古品」を求めて人が殺到している
さて、日本を訪れる人は、今や2000万人(2019年1月~7月累計1962万人。日本政府観光局)になろうとしている。そのすべての人が観光目的で日本を訪れるわけではない。では、観光以外の目的で訪れる人たちは、日本に何を求めているのだろうか。
東京・御徒町。そこは日本で唯一の宝飾問屋街である。そこに中国人をはじめとした外国人たちが集まってきている。バブル期に日本で購入された良質の宝飾品が中古市場に出回っていることに目をつけて、店頭で、あるいはオークションに参加するなどして、個人、業者を問わず爆買いしていくのだ。
千葉県では、中古重機のオークションに外国人が集まっているという。その目的は「ユーズド・イン・ジャパン」の重機を手に入れることだ。メンテナンスがちゃんとされていて、修理がしやすく、安いというのがその理由だ。
ここで注目すべきは「ユーズド・イン・ジャパン」がブランドになっているということだ。「日本でつくられたモノ」「日本で使われたモノ」「日本でメンテナンスをされたモノ」。それが大きな評価を得ている。だからこそ、外国からそれを求めて人が集まっているのだ。
ここで、私がどのようにしてリユース市場に関わるようになり、その可能性に気づいたのか……(中略)……その思いを実現しようと立ち上げたのが、リユースのC2B(Consumer to Business)プラットフォーム「ウリドキ」である。ユーザーにとっては、中古市場における価格の透明化、買い取り業者にとっては商品調達コストの削減・効率化。そんなメリットをもった中古品のオンライン版「なんでも鑑定団」。それがウリドキというプラットフォームである……(中略)……今後のトレンドをにらみながら、リユース市場の実情を見ていくことにしよう。そして、リユース経済が新しい時代の新しい街づくりに、どのように貢献していくのか、その可能性を探っていこうと思う。(以下、第4章:日本のかくれ資産は実に37兆円以上)
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リユース革命
日本では年間7.6兆円もの不要品が生まれる一方で、取引されるのは2兆円に過ぎない。その結果溜まってしまっているリユース品の累計総額は約37兆円にも上る。それをどう掘り起こすか。日本最大級の買い取り比較サイト「ウリドキ」創業者が明かす世界と日本のリユースのすべて。
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