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2013.11.15 公開 ポスト

特集「清須会議」をもっと楽しむ!

担当編集者に聞く。
小説『清須会議』はいかにして生まれたか?菊地朱雅子

現代語の独白スタイルは三谷さんの発明

――作品中の見出しやモノローグが脚本のようでもあり、現代語訳で書かれたまったく新しい時代ものでした。

三谷さんは時代ものも、密室でドラマが動く会議も好き。そんな人にとって清須会議はたまらないテーマですよね。小学校5年生のときから、日本史上初めて戦ではなく話し合いで後継者が決められた清須会議を題材に、何かを表現したいという思いを秘めてきたそうです。

でも、三谷さんは映画監督として評価されてきたとはいえ、時代もので、しかも会議をテーマにすることに周囲のよい反応が得られなかったようです。そこで「手元にある長いプロットをもとに原作を書くので、それを映画に」と三谷さんからの提案があったのです。短編小説かというくらい完璧なプロットがあったから、あとは登場人物に合わせて書くだけ……と言ってもそれが大変だったんですけど。

 

――小説の書き方は独自に勉強されたのでしょうか?

いろんな作品を読んで試行錯誤されていました。脚本家は「登場人物が画面の右に立っているところに、背後から誰かが来て……」というト書きを描かないと絵として読者に伝わらないのではと考えてしまう。でも、小説は、「自分はどこの誰です」と説明しなくても成立する。その違いが小説の書き方をわからなくさせてしまったみたいでした。

それがあるとき、三谷さんご自身が「現代語で独白だったら登場人物がどこで何をしているかが説明不要」という大発明をして、現代語訳が生まれたんです。
なかなか筆が乗らなかったんですけど、ようやく届いたプロローグを読んだときは「すごい! 斬新だし、とにかくおもしろい!」と思いました。この書き方で間違いないと安心したし、手応えもあった。すぐに電話して、「すごい発明ですね!」って伝えましたけど、「大丈夫ですかね、これで」ってテンション低かったです(笑)。私のひとりよがりな意見じゃないかということを気にされていました。

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菊地朱雅子

ぴあ株式会社を経て、1995年1月幻冬舎に入社。「星星峡」編集長、幻冬舎文庫編集長、「GINGER.L」編集長を歴任して、現在、取締役。唯川恵氏、湊かなえ氏らの文芸、ミステリ作品をはじめ、さだまさし氏、小林聡美氏などの幅広い執筆陣を担当している

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